2021 May

 

 
 

久しぶりに歩くサントノーレでセルジュ・ルタンスのブティックを覗く。まだ高校生だった頃、資生堂INOUIのCMを見て衝撃を受けた。そのヴィジュアルはカンヌ映画祭で金賞受賞、その後パリに暮らすようになりドーヴィルでご本人を目撃した時は大げさではなく稲妻が走るような衝撃・・・。希少なエッセンスが詰まった全て同じ形のボトルが並ぶ
ミュージアムのような空間。

 

 

   
 
 
 

美しいパレロワイヤルの回廊の中にあるJOYCE
ギャラリー、香港のセレクトショップのオーナーであるマダムJOYCE
MAがセレクトしたアーティストの展覧会はいつもマニアック。2000年に引退したデザイナーのパコ・ラバンヌがデザインした舞台衣装が一堂に並ぶ。ロックダウン下で中には入れなくてもウィンドウ越しに堪能する。

 

 

 
 
 

ロックダウンで人が消えた街並みの中でパブリックアートは人々の癒しであり救いなのかも知れない。サントノーレ通りに出現したカラフルなクマのオブジェ、クラシックな街並みとキッチュなクマのコントラストがパリらしい。

 

 

 
 
 

昨年の夏以来、久々のポンピドーセンター。19日からカフェのテラスや美術館が徐々に再開、エントランスの大空間もブックストアも全てが懐かしく嬉しい。カフェは鈴なりの人だけれど人々はまだ美術館までは戻っていないのかも知れない。展覧会もHito STEYERLとAbbas KIAROSTAMIというゴージャスなセレクト、静かなフォアイエを歩くだけで楽しい。

 

 

 
 

久しぶりのポンピドーセンター、はやる気持ちを押さえつつ「Hito STEYERL -I will
survive」展を見る。ドイツの映画監督であり作家、批評家や教育者と幾つもの顔を持つアーティスト。アート雑誌「ArtReview」が選ぶ国際的なアートシーンで最も影響のある人物「Power100」のリストでは2017年に初の女性アーティストとして1位になるな1966年生まれの若さでもはや巨匠。コロナによるロックダウンで長く閉館が続いた後にふさわしいパワーのある展覧会。

 

 
 

映画とアート、理論と実践の接点にある作品は世界中の美術展で上映され2007年のドクメンタや2015年のヴェツィア・ビエンナーレのドイツ館代表にも選ばれているそう。1987年から’90まで東京の日本映画大学で今村昌平と原一男の下で映画撮影とドキュメンタリー映画を学び、ヴィム・ヴェンダースのアシスタントディレクターを経て、ミュンヘンテレビ映画大学でドキュメンタリー映画の監督を学び、2003年にはウィーン芸術アカデミーで哲学の博士号を取得、2010年からはベルリン芸術大学の教授を務めているという大変なキャリアにも驚く。

 

 

 
 

イランの映画監督であり脚本家、写真家でもある巨匠アッバス・キオロスタミの展覧会「OU EST L'AMI KIAROSTAMI」を見る。1979年のイラン革命により多くのアーティストが出国を余儀なくされてもキアロスタミはイランに残り、度重なるイラン政府の検閲と妨害に遭い作品制作に制限が課される中、数々の名作を残したというバイオグラフィーにも感動する。小津安二郎を敬愛し「5five~小津安二郎に捧げる」の制作も興味深い。

 

 
 

タイトルの「友達キアロスタミはどこ?」は代表作の「友達の家はどこ?」にかけているとか。コロナの影響で一年以上延期になりようやく始まった展覧会、美しいペルシャ語の詩が書かれたパネルや監督が好んで撮影して来た扉の数々が並ぶ。会期中は「友達の家はどこ?」「そして人生は続く」「オリーブの林をぬけて」の3部作も上映されるそう。暗がりの中、映し出されるイランの子供たちのあどけなくも鋭い視線を感じるような巨大な映像に圧倒される。

 

 

   
 
 
 
2019年10月に改装を終えた直後にコロナによるロックダウンが始まり、ようやく再開館となったパリ市立近代美術館。フォービズムとキュビズムを中心に20世紀の近代美術のコレクション。1937年のパリ万博「電気館」のために描かれたラウル・デュフィの巨大な壁画「電気の精」は10メートルx60メートルの大きさ、デュフィの世界に浸る幸せな時間。

 

 

 
 

自然光がたっぷり入る展示室にはソニア・ドローネーの鮮やかな色彩、その前にはルイーズ・ブルジョアの蜘蛛をかたどった彫刻「ママン」が立ちはだかり、マチスの未完の大作「ダンス」の横にはダニエル・ビュラン作品と少々混在気味・・・。このマチスの作品はアメリカ人医師バーンズ氏のコレクションを展示する美術館のために依頼したところ、マチスが寸法を間違え未完のまま残ったという話も興味深い。

 

 

 
 

高校の美術の模写の課題に選んだほど大好きなアーティスト、ラウル・デュフィ。陽気で透明感のある軽妙なタッチは眩しい光に溢れる5月のパリを思わせる。模写を描いた時はまだ子供で水彩を使ったけれど、実際は油絵であった事に驚いた遠い記憶が蘇る。

 

 

 
 
 

同じパリ市立近代美術館の企画展、フランス人アーティストのHubert Duprat展を見る。クラシックな絵画を見た後に現代アートを見るのはなかなか面白い体験、目も頭も着いて行かない。作品集とは違い美術館の環境に合わせたかのようなシンプルな作品が並ぶ。

 

 

   
 
 
 

美術館も順次再開し嬉しい週末、久しぶりにパレ・ド・トウキョウに行く。パリ万博のために建てられた建物は2002年にアートセンターとして再オープン、その後2012年にフランス人建築家、ラカトン&ヴァッサルによるリノベーションを終え2200㎡のヨーロッパでも最大級規模の超巨大アートスペースとなった。大きさの制限がなく展示や制作が出来る「アートの巨大実験場」、展覧会というよりは「体験型アート大空間」、とにかく全てのスケールが「超巨大」、見ているうちに自分のスケールまで大きくなるような気がする不思議な体験。

 

 

 
 
 
久しぶりにパレ・ド・トウキョウの大空間に身を置くと、それだけで心が解放されて行くような不思議な爽快感。「Carte
blanche a Anne Imhof,Natures Mortes」展はドイツのアーティスト、アン・イムホフが全館を一人で使う大がかりな展覧会。エントランスから不思議な音が大空間にこだまする・・・。

 

 

 
 
 

1978年、ドイツ生まれのアン・イムホフはフランクフルトとパリを拠点に活動するビジュアルアーティスト、振付家、パフォーマンスアーティスト。キャリアのスタートは34歳と遅めながら2017年にはヴェネチア・ビエンナーレのドイツ館の代表アーティストに選ばれ、ドイツ館をいっぱいに使った大がかりなインスタレーションが記憶に新しい。不思議な音響装置を使った異次元の空間の演出が面白くいつまででもその空間に居たくなる。

 

 

     
 
 
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